stormy97’s diary

あわよくば人に勧めたい、作品の紹介と感想

ナルボルライブ2019 に行ってきました!

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来たぞ幕張メッセ

2019.10.5、NARUTO to BORUTO THE LIVE 2019に行ってきました!

NARUTOの刊行20周年を記念したライブでした。

 

とても楽しい時間だったのでブログに残します。

今回はレポというより日記と覚書を兼ねた感じです。

曲名などは一部人様のレポを参考にさせて頂きました。

そして中身は非常にうちは兄弟贔屓。

 

 

実は今回のイベント、全く予定が読めなかったのもあって行くことを諦めていたのですが、フォロワーさんのご厚意で急遽行けることとなりました。

 

 

会場内はライブ会場!!という感じで雰囲気から既にテンション爆上がり。

ステージ上部のピンクと橙の手裏剣型のモニュメントが可愛い。よくよく見るとステージ奥には各隠れ里のマークも✨

 

そして今回なんとお席が5列目でして。今までに経験のないあまりの近さに現実味がない……。

フォロワー様には感謝のしようもありません。

 

そうこうしているうちにアナウンスが始まりまして、最初ナレーションかなとか思ったのですがよくよく聞いてるとカカシ先生とイルカ先生の会話だー!

 

 

始まってまず思ったのは想像以上にライブだったこと。

未知のアニメイベントとして想像もつかずに行ったのですが、曲も沢山聴くことができてよかったな〜。

 

一番最初からKANA-BOONのご登場。 ご、豪華だ…!!

曲は順に

シルエット

スパイラル

ダイバー

バトンロード

 

私はナルトはリアルタイムで追いかけるのは叶わずお恥ずかしながら詳しく知らない曲もあったのですが、それも関係ないくらいに、とにかく格好いい!

生演奏は良いですね……中でもKANA-BOONは特にイメージがグッと変わってCDを借りたくなりました。見た目もかっけえ。

 

あといずれのバンドさんもなんですが、お上手すぎません?OPで聴くまんまだったよ〜

 

 

次が朗読劇

ナルトの声がまんまで感動…!背景を映したスクリーンの前で声優さん達が台本を読まれるのですが、喋ってるのが人なのに聞こえて来る声がアニメそのまんまだったから不思議だったな〜〜。流石だ。

5日めは怒ったサクラによるナルトへの鉄槌&下巻禁止令でサクラママ最恐!エンドだったけども6日目はこの役がヒナタだったらしいですね。彼女も怒るのか…!?気になる。何で怒らせたのかも気になる。

あとサクラの声の方とてもお綺麗ですね〜。

 

 

声優さんたちのトーク

それぞれ別のキャラの必殺技を言っていく、というのがありました。ナルトが「アマテラス」言ったらサスケが「言われちゃった…」みたいな反応してたので言いたかったんだね……

ミツキくんは「サスケくぅん(大蛇丸ボイス)」でした。必殺…技…?

 

俺がミツキだ選手権   すうっ「風遁突破」

俺がサラダだ選手権   机バンッ「パパ」

ミツキのモノマネ息吸う勢いが凄いしサラダのモノマネ煽りスキルが高いwww でも似ている。

 

 

生アフレコ

台詞が写った後、パっパっとその前振りとなる漫画のコマが映って名台詞アフレコ、の流れでした。

ナルト、サスケ、サクラ、ボルトの名台詞が聞けた😌✨✨ボルトの三瓶さんがしきりに直前のサラダの表情が可愛いと推していたのが可愛かった。

 

 

……サスケの台詞なんですけどね。

「オレは戦場に行く。この里を、イタチを、無にはさせん。」

 

ああーーーあーーそこ来るか😭

いや、サスケの名台詞って沢山あると思うのですよ。

その中からこれ。それだけサスケにとって重要な台詞だったのですよね。

 

オレは戦場に行く……オレは戦場に行く。うーん渋い。純粋に格好いいな。

 

 

 

続いて little glee monster

 over

エコー

2曲目はNARUTOの曲ではない新曲、とのことだったけどすごく聴いたことある気がする。格好良くて胸熱だったし聴けてラッキー。そしてセンターのかたかな、長髪の方が美人さんだった。好き。

 

 

そして次がね。待ってました。ナルステ

この頃期待に胸膨らみすぎて目眩がしていましたね(本当に)

宣伝を兼ねて挨拶しにきてくれるのかなと思っていたらがっつり演技も歌も聴けてフリーズした。ありがとうありがとう。彼らを初めて生で見ましたよ…!

漫画をミュージカルで、というとどんな感じかなあとも思うのですが、初っ端からナルトのシリアスなソロが切なくて良かった…✨なんとこれ、新曲だったらしいですね。

 

それから順々にキャストさんが登場してくのですが皆さん殺陣格好良いですね…

その中で、一番最後に歩いて出てきたイタチ兄さん。後ろを向いたままステージ中央へ。溢れ出るただならない感。待ってました…!!!やはり今回のキーパーソン的立ち位置なんですね。

 

彼は喋ると声が高め。おお意外。歌い出してさらに驚いたこととしては声がものすごく通る事。

「舞台のイタチは元気だ」と噂に聞いていたのですが、表情の作り方といい高らかな歌い方といい、なるほど!!見て一瞬で腑に落ちるイタチでした。これは病を抱えていなさそう。

実際見てみると画像とかの印象よりも結構細身なんだけど(横がほっそいんだ)、懐手のままのゆっくりとした歩き方がすごく強キャラ感あって原作らしく、良いです。

 

それからサイがスタイル良すぎてガン見してしまった。リアルで腹筋割れてる役者さんなのか。すごいなぁ。

サイに見とれていたらフォロワーさんに可愛いよ!と呼ばれまして振り向いたら、まあ叫んだ。

なんと

うちは兄弟がデコトンしているじゃないか。

舞台の最中なのにとても仲良さげ。そんな豪華なシーンここでやる!?!?!?!

ありがとうございます。

 

ありがとうございます。

 

前半戦、7班が固まっており兄弟は離れていることが多かったので、一緒にいるだけでも特別感満載で嬉しかったですね。

二人でテクテク走ってナルトたちとすれ違いざまににこやかにハイタッチしていたりもした。

なんて可愛いんだ。

 

 

その後はOP,EDの上映

1度ブルーバードが流れたけれど暁でないキャラが出ていたので、あれはその時その時の敵役が出て来るのかな。見覚えのない人のように見えたけれど劇場版だったりする?

そんな事を考えていたら何回めかで不死コン出てきてくれました。

キャーーーッ!飛段!!😍💕💕

叫べるのが…ライブの良いところですね……。

 

画面に魅入っていたら「休憩もできたことでしょう」のアナウンス。

今、休憩だったの???絶え間なく楽しいコンテンツがあるので全く気付きませんでした。

 

 

続いてわくわくバンド

実況者さんかと思っていたら実況も曲もこなされる方だったんですね。フォロワーさんがお詳しい方だったので色々教えて貰いつつ観せて頂きました。

仲良さげで素敵!

 

デンシンタマシイ

シグナル

 

そしてナルティメットストーム4の実況。舞台上にこういう小道具設けられるの楽しいですねー!

普段実況を見たりスポーツ観戦をしたりする習慣がなかったのだけど、会場で一緒に盛り上がるこの一体感はたまりませんね。引き込まれた〜!

奥義の映像がとても格好良い。最近のゲームって凄いな…。最後の最後に暁大集合の奥義が見られたのでひたすらテンションがあがりました。

 

 

グッズやボルトの今後の展開などのお知らせを挟み次。

スクイーズパンのイタチ兄さん、こんな優しく笑わないとか井上にツッコミ入れられてて笑っちゃいましたが(確かに)、あれは彼の内面が映し出されているのだ。

 

 

シュノーケル

波風サテライト

Diver

遥か彼方

波風サテライトの後、「ナルトの曲は歌いきったのであとは盛り上げるー」との事でオリジナルを歌われるのかと思ったらナルトの名テーマ曲カバーでした!プロによるカバー贅っ沢だな〜!楽しかった!!

メンバーさんのお一人がナルトコスチュームに、拳に20の文字があった👊✨

 

 

お次が名場面集 ベスト5

途中でも名場面集あったけれど来るかな?というシーンでまだ出ていないものがあったので、もしや明日とも思っていたけどそうかこういう形式か!

場面が流れる前に投票者さん?のコメントが表示されるのですがそれもまた良くて、じっくり読みたかったな〜。

 

5 終末の谷での闘いの後、駆けつけたサクラとの和解

4 兄弟戦の最後「これで最後だ」

3 サスケからサクラへのデコトン

(ねえ受け継がれる愛ですってよ。)

2 「お前をずっと愛している」

(コメントにやはり愛がいっぱい)

1 ミナトとクシナの最期、ナルトに語りかける場面

(ここはやはり何度見ても泣けますね……😭)

 

つくづく思うのですが、歌舞伎しかり、このうずまき一家とうちは兄弟の場面が並べて描かれることはやはり意味があるのではなかろうか。

 

 

そしてトリ。

このライブで一番楽しみにしていたFLOW

あの曲は

あの曲はやってくれるかな???

名場面同様に、あの長いナルトの中でどれくらいメジャーなのかわからないのもあって、控えめに期待していたのですが。

 

一発めでした、sign

生で聴ける日が来るとはーーーー!名場面集からのこの曲は神ですよ……

break it down

Re:member

虹の空

GO!

特有の掛け声やウェーブ合唱!ええ…ライブ楽しい……。

 

FLOWさんのいかつめ細身のビジュアルが格好いいのに加え、さすがの盛り上げ上手、そしてたっぷりと伝わってくるナルト愛で、ますます好きになりました。

 

そんなこんなであっという間の数時間、とても濃密な時間でした。

 

 

最後に入口にあった描き下ろしイラストとポスターをパシャリ。

 

 

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近くには素敵なお花も✨

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ライブも本当にひっさしぶりだったのですが今回で楽しさを思い出し、また行きたくなっております。

 

素敵なLIVEを開催してくださった関係者の皆様、本当にありがとうございました。

 

 

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『Diner』漫画版1,2巻 感想

映画化しましたねDiner。観られていないので観たい。

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今回読んだのは

平山夢明原作、作画は河合孝典の漫画版。

 

…刺激的だな殺し屋バイオレンスもの!!くー!

笑えるシーンも多い。そんで絵がすごく綺麗。

料理めっちゃ美味しそう〜!!見ているだけでお腹が好きそうな料理はDinerの醍醐味の一つですよね。

 

髪の長い殺し屋ポロンの、飄々としたビジュアルも性格も好き〜そう、髪の長い人は、戦闘の時に髪が翻るのが格好いいのだ。

 

小説にはこの人は出てきていただろうか?うろ覚えなのでまた読み返したい。

 

優しいし余裕があるし切れ者だよ〜この人…そして姿を隠して娘に尽くす。娘のためなら命も惜しくない。

 

そういう自己犠牲を惜しまない者が、お前が捨てられる命ならばお前の命は賭け金としての価値がない、と本人にとって大切な人を人質に取られる展開は正直胸熱でした。

 

鋭利なコインを口に含んだオオバカナコの土壇場根性に目つき、格好いい。

 

 

ペテンを働いてた殺し屋とカナコのゲーム相手、姑息なこともして人の命を弄ぶのを楽しんで自分が加害側なのを信じて止まない人が、物理的な痛い目にあうのが、なんだか狼の口を思い出したな…ああいう表情に。

因果応報ではあるんだけど、見ていられない。

 

スキンすごい穏やかでいい人!好き!嫌な予感はしたけどすごい良い人に書かれたから結末か変わらないか期待したくなってしまった。やっぱこうなるよな!!!うん

手がつけられなくなったスキンを見て『waltz』に出てきた人助け好きの殺し屋を思い出したりした。

 

スキンを暴走させてしまったカナコへのボンベロの台詞が、なんというかこういう人を知っているので切なかったな…

 

スフレに満足してしまえばトラウマが蘇る、そこへ逆戻りすれば奴は自らを殺す。そんな事信じられないって表情だな…しかしお前はスキンの人生を知らない。スフレを食べれば死 しかし母のスフレはまた食べたいーそうした矛盾した動機を奴は命綱にしていたのだ。

自分を罰する事で生きていられる人間もいるんだ!

渇望する望みを叶えない事が生きる糧になる奴が!

 

 

 

 

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原作小説

 

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こちらも小説原作の、頭を使って戦う殺し屋が入り乱れる漫画。バイオレンス具合といいテンポといい非倫理と人情とコメディのバランスといい、dinerが楽しい人は相当楽しめると思う。

 

 

 

鋼の錬金術師 1〜3巻 感想メモ

荒川弘鋼の錬金術師

 

昨年読んだNARUTOが面白かったので、有名な長編少年漫画をもっと読んでみよう!と思い読み始めました。

知ってたことと言えばエドとアルの兄弟が主人公(とフルネーム)、弟(アル?)は体を無くしていて(?)それを取り戻すために戦っていることくらい。

兄弟ものが最近気になっていたのもあって手をつけました。

アルはどうなっているのかと思ったら全く体がなかったんですね!

悪は悪らしく利己的、大きな組織は協力的、情報を喋ってくれる親切な敵、と今のところは子供向けという印象。ただ結構人…敵が死ぬ。むごいなぁ。

 

輪を作り、というエド錬金術の発動方法は以前聞いた合気道の力の使い方に似ている。

 

さらっとしたセンター分け前髪の横顔好きだな。

 

錬金術というと武器や物質を操って戦う話を想像してたけど、そうか錬金術だから、ホムンクルス、人体の錬成にも関わってくるんだ。

すると記憶や人の定義がテーマに上がってくる。

機会の身体に人の魂を持つアルが、君の記憶は捏造されたものじゃなくて本物か?という質問を受けているところを見て、これは楽しみだとと思った。

それに死人を復活させることはできるのか?とかも。

 

それから、娘で実験してキメラを作った科学者と、エルリック兄弟が手を染めた禁忌がどう違うのか、といった倫理の話も的を射た質問で、これからどんな答えが出されるのか楽しみだ。(想像だけど著者の荒川弘さんがたしか農学系出身だったから、こういうテーマに造作が深いのかな)

 

 

 

米澤穂信『満願』感想

米澤穂信の『満願』

この人の本を読むのは『インシテミル』以来か。

 

短い中にも描写や世界観のつくりが濃厚でありながら、引き込む力が強く読みやすい。情景を間近に感じるような描写力は圧巻。上手い作家さんだなあと思う。

そして「らしさ」を感じさせないままどんでん返しを迎えさせ、そうだこれはミステリだったのかと後になって気づかせる自然さもすごい。

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以下ネタバレ

 

夜警

部下を殉職で亡くした警察官が、警察官の向き不向きと部下のことを考える話。妻に暴力的な夫のところに乗り込んで、刀で斬られて死んだ部下とその真相。

 

自業自得だけど、嫌な話だ。

部下川藤には『ジェノサイド』に出てきた小狡い日本人ミックを思い出す。正直好きにはなれないけど悲しい目にあうのを見ると気が重くなる。

警察ネタや精神分析にはワクワクし、話の「転」には不意を突かれ、面白い話だった。こういう、最後にスッと心が冷えるような作品だったのか。

 

死人宿

夫に悩みに寄り添ってもらえず失踪した妻に久しぶりに会いに行く夫と、彼の反省、そして自殺者の多い宿の遺書の書き手を探す話。

旅館を描いた文の綺麗さや常識などないというテーマや、心情描写と共に進む死にさし迫った問題。

短編の中で一番好きかも。ただ、結末などまだ飲み込めきれていない感覚もある。あれはどういう意味なのか。

最後を読んで、この短編集の作風への確信を深める。

 

柘榴

美しい母と誰もを魅了する不思議な魅力の…しかし父には合わない男と美しい娘二人の話。娘二人の放課後の教室でのやりとりは幻想的でほんのり百合っぽい雰囲気。柘榴の神話になぞらえた話。

文字で書かれた台詞のみだというのに、男に語りで自然と人を魅了する魅力があると伝わってくる。美しかったし面白かったのだが近親間なおかつ恋愛脳の話であまり好きではない。母が可哀想だ。

 

万灯

短いながら濃厚な世界観だと最も感じさせたのがこれ。長編を読んだかのように、ここだけで終わらない地続きの世界を感じさせる。

最初はやや退屈だったが、話に入り込めてからは引き込まれる面白さ。

途上国の土地開発を目指す外国企業の二人とそれを拒む閉鎖的な村。

村の長の考えと呼び出された集会所と殺人。

 

関守

一人称独白体のホラーと似た話。事故の多発する山中の道という都市伝説を追って喫茶店でおばあさんに話を聞くフリーライター

今気づいたのだが、この人の短編の話や世界観に深みがあるのは、一見関係ない設定も練られているからだろう。このライターのプライドや人となりのように。

主人公の返事がなくなっていく演出は怖くて良い。

オカルトを追って犯罪的な危険に行きつくあたり少し鈴木光司『リング』を思い出すね。

 

満願

元下宿先の女将さんが犯した殺人が正当防衛か否かを考える弁護士の話。キーとなるのは家宝の掛け軸。

ややこれまでと似たように思えてそこまで驚きはなかった。

話と直接に関わらないが、満願とは響きが綺麗な言葉だな。

 

時にホラーじみた演出があるが、トリックはとことん現実的なミステリー小説集だった。

綺麗めに端を丸めて書かれてはいるが、「いい人ではないが悪人と言うほどではない疎ましい人」だったり、ちょっとした事の積み重なりで犯罪に加担してしまう「普通の人」だったりと、書かれている人はどれもリアルな捉え方だと思う。

過剰ではなく誰もが持つけれど事件を呼ぶ、人の悪意や闇を巧妙に描いた短編集だった。

 

 

解説の数文がこの読後感を的確に表していた。

「描かれる謎は決して巨大なものである必要はなく、発端はごく小さなものでかまわない。読む者の関心を引っかける程度の、ほんのわすかなとげが生じていればそれでいいのだ。呈示された謎に対して、人は無関心ではいられない。」「最後になって急にどろりとしたものが現れるという展開は米澤作品の特徴の一つ。燦々とした陽射しが急にそこだけ翳り、ひやりとした感触を読者の心に残して終わるのだ。」

 

 

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『朽ちないサクラ』感想

柚月裕子の『朽ちないサクラ』

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人に勧められて読んだ。

ストーカー殺人事件にまつわる警察官のスキャンダルから始まり、それに続く関係者の突然死や辞職などの謎に迫る作品。

 

残酷な描写も感情描写も、展開も淡々として、良くも悪くも「フィクションで娯楽用」という印象。その分とても読みやすく、すいすい頭に入ってくる。生々しい悪意も感じないので後味も良い。謎が謎を呼ぶストーリーも面白く、2日程度で読了。

 

タイトル的に「サクラ」こと公安の強かさや格好良さがテーマなのかと思いきや、主人公はサクラに疑問を持つ警察職員だし、どちらかというとそちら目線の話だった。これは意外かも。

 

 

「奴らには、国家を守るという大義がある。たとえお題目であろうとな。職務を遂行するためなら、裏から手を回して捜査に介入し妨害するのも、厭わないだろうよ。」

「同じ身内ですよね。同胞を辞職に追い込むことになっても、ですか」

「国家の安全と一介の捜査員、秤にかけるまでもない。やつらにとってどっちが重いかは明白だ。」

梶山は当然のごとく答える。

 

「百人の命とひとりの命、たしかに秤にかけることはできん。だが、秤にかけなければいけない立場の人間もいる。きれいごとじゃあ、国は守れん。」…

「冨樫の言うとおり、感傷で国は守れない。時には非情な選択を迫られる場合もあるだろう。でも、なぜ自分は殺されなければいけないのかもわからず、突然、命を奪われた千佳や百瀬、残された遺族を思うと、冨樫の意見に賛同はできなかった。」

 

「公安によって、多くの人間の人生が狂わされました。命を奪われた者、子供を失った者、職を辞した者、多くの人間が悲劇の淵に投げ込まれたんです。無辜の人間の命を奪ってまでも、警察は国家の安全を追い求めなければいけないのですか。本末転倒ではありませんか。これは、国家の、国民への裏切りです。許されていいんでしょうか」

 

犠牲の上に、治定があってはならない。

個人より国の公安と、個人を大切に思う人の対立は良いよね。

 

連想したことといえば、NARUTOの暗部はやはり(物語で描かれる)公安っぽいなというのと、最後から二番目の台詞はこれもまたイワンが言っていたことのようだなと思った。

 

 

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『十二人の死にたい子どもたち』 感想

十二人の死にたい子どもたち』どこで知ったのだったか、あらすじに興味を持って読んだ。

 

読みやすく3日程で読了。

エンタメ小説という印象。

子どもたちの、それぞれ置かれた環境に基づく思考の癖の描写が個性的で面白かった。

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【以下少しネタバレ】

 

子どもたちが議論する形で進む推理が、やや長く説明調に感じてしまった。

それはどうせ死ぬという結果を決めているならその前に何をしたって関係ないし、とっとと実行してしまえばいいのにという感覚が自分にあるためだと思う。

それぞれの子どもたちは死を選んできたけれど、その割に論点に関わらないところに拘ったり感情的に意見を変えたりするので。

 

まあ実際は人間一貫していない部分ももち、「なんとなく」こそ力を持つようなそちらの方がリアルなのかもしれない。

そこが長かった分、真相についてはふーんそうか〜という感想だった。

 

やはり自分は理論的で一貫性のあるシンジロウやリョウコ、それからメイコのような人が好きだ。

メイコは歪んだ人物として描かれてるようだけど、行動基準も理由もはっきりしているので見ていて納得がいく。

「奪い取ろうとすればするほど自他を貶めることになるし、そもそもその椅子にどんな価値があるか問うたところでメイコには何を言われているのかもわからないだろう。」そんな風にアンリに評されるメイコには、そういう人物が他にもいたなと思ったり。

 

シンジロウの思考こそ娯楽、体が動かなくなろうと思考手段と何か一つの伝達手段があれば成り立つというのには共感する。

 

後書きに、一人心底捻くれてしまっていて、読んだものが共感しにくい人物がいると描かれているが、ピンと来ず。誰だろう?メイコ?アンリ?

 

個人的には、途中の謎が増えていく起承転の部分がより面白かったな。

あと真相については最終章は予想外でけっこう面白かった。

 

著者の冲方丁さん、なんだかすごく聞いたことのあるお名前だなと思ったら、サイコパス攻殻機動隊の脚本をしてらした方なのか。マルドゥック・スクランブル。なるほどなるほど。

 

 

この本、漫画化や映画化されているんですね。

小説では、人物描写が考える前に見た目も口調も勝手に浮かぶように巧だったので、それがどんな風なビジュアルになっているのか気になる。

いずれ観てみたい。

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『草の花』感想

福永武彦草の花

お勧めされ、またサナトリウム文学が読みたくなったことを機に、初めてこの作家の本を読んだ。

美しく、純文学らしい純文学を読んだと感じた。

 

俗な言い方をすると、えもい 文や台詞が非常に多く、良い意味で一気読みするには刺激の強い下りがあった。久しぶりにこういった良さで息がつまるような読書体験をしたな。

 

p15 「君はよくそんなに平気でいられるね、」

「僕の精神が生きている限りは、僕という人格は僕のものだよ。」「肉体は泯びるさ、そんなことは分っている。分っていらからこそ、僕は僕の精神を大事にしたいのだ。君だってそうだろう。」

「しかし君、肉体が少しずつ参って行くのを見詰めるのは、耐えられないじゃないか。肉体が死んじまったら精神もへったくれもないんだから。」

「それを見詰めるのはが生きていることだ、」

 

「僕も昔はそうだったよ、」「しかし僕は僕の感受性を殺してしまった。感受性、というより、僕は自分の魂を殺してしまった。僕は君が羨ましいよ。」

 

p26 生きるということは、自己を表現することだ、自己を燃焼することだ、精いっぱい生きるためには、自分の感情生活をも惜しみなく燃焼させなくちゃね。

 

p36 僕等のように芸術家でない人間にとって、人生は彼が生きたその一日一日と共に終っていくのだ。未来というものはない、死があるばかりだ、死は一切の終りだ。…生きるのではなく、生きたのだ、死は単なるしるしにすぎないよ。

汐見の言う人生はマクベスの言う人生(昨日という日々は阿呆どもが死にいたる塵の道を照らし出したに過ぎぬ)と同じ気がする。

しかし、死は人生を運命につくり変えるというじゃないか。

英雄たちはそういうふうに死ぬだろう、が、僕は英雄じゃない。

 

 

洗礼を受けて後悔した汐見は、望むものは違えどスタヴローギンに似ている。その後恍惚感を伴う精神世界のような夢を見るところまで。

 

この本は汐見の過去を書いた手記がメインなのかもしれないが、私はその導入「冬」の章が一番好きだ。

うっとりするような美しい文で、刺さる文章が綴られている。

汐見の何も暴かれていないミステリアスな姿が魅力的に映るためもあるだろう。

 

彼はこの語り手曰く、常に触れさせない孤独を周りに置いて、自分の病状の悪さを気にもかけず生に執着せず、落ち着き払って呆れるほど勇敢、そして自殺に似た死を迎える。それから後になるまで汐見が考えていたことを何も知らなかったと言われる人なのだ。そりゃ魅力的だろう。

 

サナトリウムで死の近くにいる人々のやりとりは強く生を感じさせる。

 

 

p102 共通の目的と訓練とを持った共同生活、その中で耐えられるような孤独でなくちゃ、本物じゃないんだ。卵の殻で自分を包んでいるようなひ弱な孤独じゃ、君、何ひとつできやしないぜ

 

p103 たとえ傷ついても、常に相手より靭く愛する立場に立つべきなのだ。靭く人を愛することは自分の孤独を賭けることだ。たとえ傷つく懼があっても、それが本当の生き方じゃないだろうか。

 

p106 自分で自分を傷つけちゃいけないよ。君が本当に成長し、君の孤独が真に靭いものになれば、君は自分をも他人をも傷つけなくなるのだ。自分が傷つくような愛し方はまだ若いのだ。

 

与えられた場所で生きられない人間は、何処に行ったって生きられないよ。

表面上汐見が言ってる理由への意見なら適所適材だと反論したくなるが、その本質でもっと根深い、変わらない破滅的な性質を変えないことにはどこにいっても幸せになれない、の意だとしたら納得する。

 

p125の、人は肉体に死んだ時一度めの死を、知る人が皆死んだ時二度めの死を迎える、という人は二度死ぬという考え方はどこかの名言で見たことがあったが、この頃にも口にされていたことなんだな。

 

 

手記を読んで思うことは、汐見が「冬」で感じたよりもずっとずっと人間臭く、自己に拘って内向的であり、純粋だったことだ。これは意外だった。

 

人間と愛に対して完璧主義すぎて(後書きでは「潔癖」と表現されていた)幸せになれなかった男の話だったと思った。

 

孤独だって、定義づけしてそれに従う必要などどこにもないのに。それを信じて矜恃とすることは、美しくも見えるし、子供じみても見える。経験したことがあるのでわかるけれど思春期特有と思える考え、純粋すぎる考え、そういうふうに映った。

 

自己の精神世界に閉じこもって、その共有できない理想を追っていたのだろう。それが自己で完結するなら良いのだが、彼の場合他人にその具現化を求めてしまうから、いつまでも満たされることがなくて悲しいのだと思った。

思うに彼は、精神世界の持ちようや理想が彼と同じような人と出会えれば、それぞれ持つ精神世界は似て否なるものであっても、それなりに分かり合え、孤独を埋めあえたのではないかと思う。

 

p149 あの時は何だか死ぬんじゃないかと考えていた。もしああして死んでいくんなら、汐見さんを愛することが出来るような気がしていました。

船の上での藤木との二人きりの時間の描写は濃密で美しい。それこそ思春期的とも言えるのだけど、性を感じさせず、精神だけ、けれどそれが陶酔感を伴うくらいに濃厚。

ブロマンスの醍醐味と思えるようなシーンだった。

藤木は愛される責任が重荷だと言う。彼の考えは非常にわかる。だからこそ終わりがすぐ見えていれば愛せるというのも。

 

p179

あたしたちがあの曲を今晩一緒に聞いたから、それであの曲がもっと素敵なわけなのよ。

それは、音楽を本当に愛するということじゃないよ。

いいの、それでも。あたしこれからあと、ショパンのあの曲を聞けばいつだって、あああれは汐見さんと一緒に聞いた曲だって思い出すわ。そうして今晩のことを思い出す限り、あの曲はもっとあたしに身近な、大切な、二つとない音楽になると思うわ。

音楽を愛するものからは彼女のような感想を残念に思うこともわかるし、条件付けによって付加価値をもち、より大事なものになるという良さもわかる。

 

全編通じて、精神的な議論のパートが好きだった。

 

後書き曰く、「汐見は夢を見ることのできない人で、それを夢見る人だと誤解されたことで、彼を愛する者たちは彼を愛しながら去って行った」ということだ。

これは半分同意、半分違うと思う。

確かに都合のいい空想に満足して生きることができないという意味では「夢を見られない」が、他人に理解のできないものだけに拘っていることは、実体のない、一人にしか見られない「夢を見ている」と言って問題ないのではないか。

 

 

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おまけ、

えもと精神世界のブロマンスとして船のシーンと近い陶酔感を味わえると思うのは以下の作品

これらはさまざまなメディアで出ている作品だけれど、それを味わえるのは以下の媒体、巻数だと思う。

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