stormy97’s diary

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「カカシ暗部篇」感想

NARUTO疾風伝の番外編、カカシ暗部篇の感想です。

 

一言で表すなら、闇が深い!!

真伝で深いのが業ならこっちは闇ですね

 

暗部篇にあたるのは569〜581話で、

〜576話がテンゾウ絡み

577〜579話がイタチ(うちは)絡み

580,581話が「カカシ先生」のお話ですね。

 

カカシ暗部篇は、里の上層部の事や、班編成の仕組みだったり、裏組織のことだったり、大人サイドの事がわかってとても面白かったです。

それになんてったって暗部…つまり、守秘義務のある暗殺戦術特殊部隊のお話だから、警察ものやスパイもの、殺し屋ものが好きな自分に楽しくない訳がないのだ。

暗部ご存知ない方は、ドラマにおける公安警察を想像していただければほぼ一致するかと。

 

上部から直々に選抜された者しか入れなくて〜守秘義務があって〜危険で〜いるだけで闇が深まるような、汚れ仕事をする(アニメより引用)部隊〜ヒューヒュー!

 

類似の部隊に根があるんだけどこれまた設定が良い。(後述)

【以下ネタバレ感想】

 

アニメの番外編はイタチ真伝篇といい、本編に比べて、対象層が違うのではと思うほどに、極端に暗く重く見えるのは気のせいだろうか。

 

 

テンゾウのくだり

闇の深さ、まず、カカシのトラウマが根深い。
カカシのトラウマ描写が完全にPTSDのそれで、昼間のアニメでこんなにしっかりと描写をするんだ…と驚いた。

 

そして大蛇丸の研究所…人体実験、しかも里の上層部が、それを秘密裏に行うことに加担している。
液で満たされた溶液中に、コードに繋がれている子供…。

一人の時はいつも死にたいと思っている、そんな人体実験で産まれた子供。こんなのも描かれるんだ…(2回目)

ディストピアSFを観ている気分でした。


そんな死にたがりのキノエ(ヤマト)が初めて生きたいと思えたユキミとの出会い。彼女が生きていて良かった〜!!彼が一族と共に彼女を繋ぎ止めるシーンは感動的でした。


それにしても、ヤマト隊長の生い立ちがこんなに強烈だとは。

カカシに弱い素朴な部下かと思いきや、名前がいくつもあるわ生い立ちはこれだわでめちゃくちゃミステリアスなキーマンじゃないですか…ワクワクする…
死にゆく同じ立場の子供を見て、溶液のなかでもがき絶叫するキノエや、彼が見た救い主のような眩しいダンゾウが印象的。

 

上層部の中でも過激派であるダンゾウ直属の暗部が「根」。

孤児など行き場のない者を拾って、完全に任務のために尽くすような人材を育て上げる組織だと判明。うわ〜好き!!


暗部篇でのダンゾウは小さい男というのが強調されていて、好感度は下がる一方だったのだけど、キノエから見たダンゾウは、生かしてくれ、名前をくれ、居場所をくれた紛う事なき育て親なんですよね。

彼の目線で見ていると、悪とは言い切れないのではないか、と思ってしまった。
まあ後に利用していただけだと判明する訳ですが。雨宮父(『YASHA)を思い出しますね…。やっぱ好きになれねえ。

 

そんな育て親の命は間違っていないと信じたい子供。だからこそ、その命を実行すべく仲間を殺しにかかる子供。<del>インプリンティングという言葉が浮かぶ</del> それをおかしい、利用されているだけだと命を張って説得するカカシ。

こういう展開大好きです。
キノエが隙をつくるため、カカシを「仲間殺し」という傷つくとわかっている言葉で責めるのも闇。こんなの(略)

 

仲間を殺させやしない、仲間を殺す任務は間違っているというカカシの言葉は重みがありますね…。
「リンを殺したくなんてなかった」辛い。

 

あとはやはり、火影は子供の夢、英雄の象徴のようだけど、引き継ぎの様子を見ていて火影って「職業」なんだなと思いました。

 

 

イタチのくだり

(スパイになられるリスクのある)「うちは一族のイタチ」を、暗部だからと平等にうちは監視に使うあたり、この里は甘いのか厳しいのかわからんな…。

 

里警備してるうちは警務部隊は、正義の味方って印象ですね。日の当たる、"おまわりさん"みたいな。そんな彼らが身内に拘り、平和を揺らがす過激なクーデターを首謀した事実になんとも言えない気持ちになります…。


シスイが格好いい…!!イタチと共に闘う少年のイメージだったけど、火影に意見している時などの様子を見ると彼は立場的にも大人で、大人の対応で闘ってたのだなとわかる。

 

カカシ暗部篇とはいえ、この辺りはうちはがメインで、シスイの最期からクーデターまでしっかり描かれています。

このあたりの話は、小説イタチ真伝をそのまま再現した場面も多かった印象。もしかするとアニメ真伝より真伝のイメージに近いかも。

 

暗部篇を観て、カカシとイタチの関係が好きな方がいる事が腑に落ちました。漫画読んでた時は関わりないと思っていたので、接点があったことを知って驚いたくらいだったのですが、そこそこ長いこと同僚関係だったのですね。

 

互いに友を自分も責任を感じる形で無くしていて、闇を抱えている似た者同士だったんですね。後に仲間殺しとなる。

そしてカカシにとって彼も、救えなかった後悔を向ける一人なんだな…。

理解者同士になれたかもしれないだけに、そうならなかった事が切ないですね。

神社で「近況は別に変わらない」とカカシに笑顔を向けたイタチからは、もう完全に本心を見せなくなっているのが伝わってきて悲しかった……。

 

あとは、まさかガイ先生が可愛いと思う日がくるとは!笑

明るく熱く馬鹿正直で仲間思い…重い暗部篇の癒しですね〜。

 

 

「カカシ先生」のくだり

班編成の話、オビトやリンを亡くした時の隊長ミナトの息子、救えなかった部下イタチの弟…現7班、よく見てみればカカシにとってやばい班ですね。

かつてのミナト班と似てるというのも言われてみれば確かに…!

 

しかし火影の話では、ガイ班は体術特化、のようにちゃんと任務や班の成長を意識した編成になっていると言う。なるほど各班特色があって面白い!

 

九尾をコントロールできるサスケだからナルトと組ませたというのも、確かに……!

本編ではむしろサスケの暴走をナルトが食い止めていたようだったから、全然気づかなかった。ただのライバルではなく、制御、被制御のできる関係でもあったんですね…やべえ。

作者さん本当にどこまで考えているのやら…すごいな〜〜。

 

カカシが演習で生徒を落第させるくだり、彼の信念が見えますね〜。

彼の行動基準が完全に亡きオビトに沿っていて、信仰か…!と思いました…それくらい重い。

ミナトってすごく正のオーラある人だと思うんですけど、自分を合格させたそんなミナトの判断すら後悔の対象になるあたり根深いな〜。

 

けれどカカシは落第させた生徒から、おかげで成長できたと感謝されるようになったりして、徐々にオビトらに関する思い出が、後悔だけではなくなっていく。笑顔の生徒らに囲まれるカカシにはじーんときましたね…

彼には「自分が全部引き受けようとする兄」を救える素質もあったのだな、と思う。

 

7班が弁当を分けあうシーンがあんなに深い意味を持つ、感動的なシーンだったとは〜‼︎😂

 

 

イタチに続きテンゾウやカカシを見ている時も、未来ある若者が愚かな大人に食われていってる…なぜこんなやつに、と感じ得なかったんですけど、ダンゾウ解任後の未来がこう明るいと、ダンゾウはやっぱ諸悪の根源じゃないかと思ってしまう。
勧善懲悪の話ではないと思うので、一人の悪とは考えたくないのだけど、擁護できる要素はないだろうか。

 

 

暗部篇は闇が深いと言いましたが、そもそもがカカシが闇を脱するための物語ですもんね。


暗部篇の最後にも、割り切れてる訳ではなく、思い出すに本編の最後になってもそうだった。

きっとこれは、彼が一生付き合っていきながら、少しずつ乗り越えていく過去なのだろうなと思います。

 

いやーいい作品だった。これはいつか揃えたいな。

 

最後に、

OPとEDもとても良かったですね〜

特に前半のED「虹」はNARUTOのOPとEDの中で一番好きかも…。

オビトの思いがメインのED、修羅だ。

ぱっぱっと移り変わる笑顔のリンが、最後の一瞬血を流して引きつった顔になるの怖いよ〜

真っ赤な背景の中、あの日のリンをお姫様抱っこをした大人のオビトの後ろ姿の画がひどく美しい…。

最後に悪の姿をした彼の後ろで血の涙を流す十尾もまた、おぞましくて悲しくて、良い。

 

「月の大きさ」OPのカブト戦で弟の前に出て剣を構える兄さんが綺麗格好いい。

「痛みを忘れる」という歌詞に、うちは兄弟を表してるならそれは違うのではという意見を見た事があるけど、これはオビトにかかっているのではないかと、だとしたら本当に「らしい」なと思ったのでした。

それはそうと、この全歌詞見たら、めっちゃカブト戦ですね…。自分に嘘をつけば自分を失う、真の強さとは夢を見るもの、愛を信じるもの…。

 

 

小説『イタチ真伝』 感想 - stormy97’s diary