stormy97’s diary

あわよくば人に勧めたい、作品の紹介と感想

カラマーゾフ好きによる『オイディプス王』感想

読書会にて、亀山先生から、『カラマーゾフの兄弟』の理解に役立つとお聞きして読んだ。確かにこれは連想する要素が多い…!
ストーリーもかなりわかりやすく、面白く、また深い余韻が残る、人にオススメしたい作品でした。

 


そんなわけで、カラマーゾフフィルターかかった人による、ソポクレスの「オイディプス王」の感想です。

ところでこの文、数年前のメモをもとにしており、推敲している今記憶があやふやな部分が多いです。わかりずらい点が多々あるかと思います…ご了承ください。

 

 

ざっくり感想

物語を簡単に言えば、実の父親ライオスを、それと知らず殺してしまったオイディプス王の悲劇。
エディプス・コンプレックスの語源だそうで、ギリシャ神話が大元である戯曲だとか。

 

神話というと実在したのかしないのか、また大昔の話すぎて現実と非現実の境が曖昧だったのですが、実際に古典作品に触れてみて少し整理がつきました。アリストテレスは実在、ゼウスは神話の登場人物、うんぬん…
〜スって名前は神話特有じゃなく、ギリシャ人に多い名前なんですね…

 

わかりやすいとは書きましたが、スタシモン…古文みたいな文法の歌の部分はよく理解できていないので、知識をつけてから再読したい。プロロゴス、エペイソディオン、エクソドスってプロローグ、エピソード、エピローグ、みたいに対応してるのだろうか。そうだとしたらパロドス、スタシモンってなんだろう。

 

 

カラマーゾフを連想した点

・まず重なったのはライオス→フョードル、オイディプス→イワンだった。オイディプスはあるいは、召使らに育てられたスメルジャコフか?

 

・ライオスは予言(アポロン)を受けて殺される事を知っており、恐れから、原因となるという我が子を幼い内に殺そうとする。(フョードルも予感していた)(子供を手元におかないフョードル)
・それを羊飼いが、「犯行は盗賊らのしわざ」とし、こっそり別人の手に託す。
アポロンの神託を問おうと4人共をつれた旅の途中殺害される

スフィンクスは解き難い謎をうたい、答えられない人々の命を奪う(→原因に気づかない民衆を苦しめる神?)
オイディプスは、秀でた知力で謎を解き、国を救う。(→プロとコントラ、唯一キリストの問題点・正義のあり方に気づく?)。そして、ライオス亡き後王位につき、イオカステを妻に。(→近親間で同じ女性と関係を持つ)

・人がよかれと願ってなした一つ一つの行為の必然的な結果の不幸。親から受け継がれた罪の報いではない
例)母親への恐れからオイディプスを解放させられる嬉しい知らせをもってきたつもりの男が、彼の素姓を明るみに出してかえって状況を逆転させる。(→アリョーシャとの関連も考える余地あり?)

 

それから、解説によると、


オイディプス=腫れ足、ライオスが、3度まで下されたアポロンの使命をないがしろにしもうけた一子。(→四男≒スメルジャコフ?)

 

 

その他解説で気になったところ

悲劇はかくあるべき、といった話しが解説にあって、本編と同じくらい面白かったのでメモ。

・「主人公の人物・状況設定も、悲劇が果たすべきこの感情的効果(恐れ、あわれみ、いたましさ)に照らして考慮するべき」byアリストテレス
→「徳と正義において特別にすぐれているというわけでなく、しかしまた自分の悪徳や邪悪さのために不幸になるのでもなくて、ある過ちのために不幸におちいるような人であり、大いなる名声と幸運のうちにある人物たちのひとりでなければならない」

 

・「感情的効果を視覚的方法で引き出すのは邪道であり、事の成り行きを聞いているだけで、出来事におののいたり、いたましさを感じたりするように作らなくてはならない。」


・恐ろしい行為に関わる当事者らが互いに近親関係にある場合いたましさが上がる。a相手との近親関係を知りつつ意識的になされるかbそれと知らずになされるかc果たされるかd未遂か
の組合せで優劣を比較
オイディプス王は行為に関わりながらも、自分が恐ろしいことをしたとは知らずにいて、あとになってから相手との近親関係を発見する(bc)
→一等は何も知らず取り返しのつかぬことをしようとして、事前に相手が誰か気づいてやめる(bd)


・自分自身(息子たち)に呪いをかける

・描かれるのは、恐るべき真相の発見(アナグノーリシス)と、それによるはげしい運命の逆転(ペリペテイア)

・真相発見のプロセスは人間の正常な知力によって行われ、オイディプス自身の探索への執拗な意志によっておしすすめられている(→イワン)

 

・同じオイディプスを題材とした作品にも、作品ごとに特徴があるらしい。

亀山先生が読むべきと仰ったのは神話オイディプス?ソポクレスのオイディプス王


・「不合理な事柄があってはならない。やむを得ない場合は、悲劇そのものの外におかれるべき。」イオカステと暮らしてたオイディプスがライオスの事を知らなかった→劇の外で、あらかじめ言われてなければ劇の時間内に気づかないだろうからOK


・「悲劇とはあわれみと恐れを引き起こすことによって、この種の諸感情の浄化(カタルシス)を達成するもの」

 

 

以上です。あれこれ書きましたが素人の感想なので、何かご存知の方いたらぜひ教えてほしいです〜

 

 

 

↑亀山先生の翻訳のカラマーゾフの兄弟はこちら。