魔法少女まどか☆マギカ 感想
「魔法少女まどか☆マギカ」のアニメの1クールを観ました。他に映画があるらしい。
好きになりそうだな〜とずっと思っていたので観られて良かった!
・タイトルといいビジュアルといい声といい、ぱっと見プリキュア
・虚淵玄監督(救いのない話を作ることで有名)
・鬱作品
という前知識だったので、どんなとんでもない展開が起こるのだろうとワクワクしていたら、一日で観てしまった。面白かった〜!
メインの登場人物が5人…巴マミ、鹿目まどか、暁美ほむら、美樹さやか、佐倉杏子
なので覚えやすかったのも一つの理由。それぞれイメージカラーもあるし。
退場していくのでさらに少なk…
フラグがめちゃくちゃ立つのでやめてくれ〜と思う
自分が簡単にこの作品を説明するなら、
世界観はダークファンタジー
内容はSF
人間関係はブロマンスって感じです。良い。
【以下ネタバレ】…なぜかYASHAやハーモニーのネタバレもあるのでお気をつけて。
この話の設定は、
「一つだけ願いを叶えることと引き換えに、一生孤独に命がけで闘い続ける魔法少女としての運命を科される」というもの。(これを行うことが「契約」)
作中の言葉を借りると「たった一つの希望と引き換えに全てを引き換える」契約。
選択と奇跡と代償の話が好きなのでたまらなかった…!
あと因果の話も出てきたな。
闘う相手は魔女と呼ばれる怪物。魔女と言っても人の形をしていない。怖い。戦場もサイケデリックな世界で、ここであっプリキュアじゃないんだ…と実感する。
ここで流れる音楽も奇妙でクセになります。
魔女は自殺や事故といった原因のはっきりしない悲劇を起こす原因である。『死神の精度』に出てくる死神に近い存在かも。ただしそれらを作り上げるのは負の感情。どっちかというとヌースっぽいかなぁ。
契約を執り行うのは、キュウベエという、マスコットみたいな生き物。
彼の目的は感情エネルギー…ここではエントロピー増大の法則に縛られない、つまり減らない理想的な資源…の回収だった。
感情エネルギーが大きいから14歳前後の少女が対象なんだ。この年にも理由がつくとは。
長期的に見て互いのためになるから負い目はない。理解できる筈だ。と淡々と言うキュウベエは説得力がある。SFチックで面白かった〜!
資源の循環を考えて「利用し利用される事が、長い目で見て世界の均衡を保っている」という彼らは、食物連鎖の面から「世は弱肉強食だ」という杏子の考えをさらに俯瞰しているよう。
感情は極めて稀な精神疾患で、感情がない星が多数だというのはミァハ(ハーモニー)やリコス(クジラの子らは砂上に歌う)の事を思い出すね。感情をエネルギーと捉える点は後者でも同じ。
テーマや展開、人と人との関係性がとても好きでした。
何もできないでただ酷いものを酷いと嘆き、泣いている主人公はあまり良いと思えなかったけれど。
そう、主人公はめっちゃ闘うのかと思いきや本編ではずっと傍観者なんですよね、意外だった。
彼女の母親が良いことを言う。
(正しいことをしているのに泥沼になっていく親友について)「正しいことをするほど上手くいかないのはよくあることだ。だったら間違えてみれば打開できるかもしれない。」「その子を諦めるか、嘘でもなんでも吐いて自分が誤解されることで解決するかどっちがいい?」(意訳)
これを生かしきれていないのがもどかしかった…!
でも思えば中学生だからこれが普通だよね。
それに、ほむらが望んだのはそういうまどかだったから良いのかもしれない。
ほむらとまどか
ほむら→→まどかのブロマンスのような関係が素敵だと聞いていました。
これが大きく取り上げられるのは意外にも結構後の10話。
ここがすごく良かった!
たった1人を助けるために、時間を遡り、繰り返すほむら。
何度も助けられず絶望を知る度に、強く冷酷になり、誰も頼らなくなるほむら。
絶望して怪物になってしまう前に殺してほしいと言われて大切な友達を殺すほむら。
なぜそこまでするのかと言えば、もともとは相手に元気付けられたからであり、また助けることが自分の存在意義になってしまって、できないならば自分も破滅してしまうとわかり、引き返せなくなったからだ。
依存にも似た形の献身がたまらない。
彼女はまどかの事を「最後に残った道しるべ」だと言うんですよね。く〜
正義の味方はいいものなのか
自己犠牲と献身は誰のためか?について考えさせられる。
他にも、正義の味方"魔法少女"は
「命を危険に晒すのはそうするしかない奴がすることだ そうじゃない奴が首突っ込むのはお遊びだ」
って台詞があったように、そうするしかない追い詰められた者が契約する存在だった。
「報酬の発生する敵以外を倒すのは愚か」
「願いに釣られてなってしまった、釣り合わない職」みたいな話すら出てくる。
この作品での正義の味方って、キラキラした皆が憧れる存在というよりは、普通と異なる力を使うしか生きる術がない者達の集まった非合法な存在みたいに見えた。
関係ないけど、設定で、魔法少女は契約時の叶えたい願いに関係ある能力になるというのがアツかったですね。
大切な人の後遺症を治したい→治癒能力の増強
大切な人を失ってしまった世界をやりなおしたい→時間を止める、など
YASHAとまどマギ
観ようと思った一因に、別作品『YASHA』に出てくる好きな2人、尊と凜の関係性に、杏子とさやかの関係性が似てると聞いたことがあります。
http://dic.nicovideo.jp/t/a/独りぼっちは、寂しいもんな
こちらを見て、さらにそれっぽい…という思いを強める。
実際見て
負の感情を溜め込んで絶望しきった結果、願いが恨みにかわり、災厄をもたらす魔女(鬼)に変わる点がYASHAと似ていた。
まさか凜のポジションにくるのが元気で単純で勝気だったさやかだなんて予想もしなかったけれど。
杏子は確かにすごーーく尊ポジションだった。ここは前述のサイトに書いてある事がジャストなので、YASHA知ってる方はぜひリンク先を読んでみてほしい。
さやかが狂気に歪んでいく様は迫力があって、正気と狂気のギリギリの境で、親友を傷つけたことに自己嫌悪したり、かつての理想を取り戻そうと揺れ動くシーンは印象的だった。
ここや、まどかとほむらのシーンなど、終盤の表情の描き方からは、感情の機微が伝わってきてすごかったなぁ…。
そして、真っ直ぐだった彼女に最初の志を思い出したからと、彼女を大切に思って最期すら共にする覚悟を決めた杏子は悲劇的で格好良かった。
八重歯が愛らしく、強かで、これまでの経験から独自の哲学を持っていて、それでも人間味を捨てきれなかった杏子は魅力的ですね。
まどかの結末について
まどかは最後は負の感情を一手に引き受けて、時間を超越する概念となった。らしい。
何かのSF映画で「時間がなければ因果もない」って言っていたから、因果を奪って覆してなかったことにするために彼女は時間を超えられる存在になったのかな?全然わからんけど。
視聴後感は完全に、難しいSF映画(屍帝とか)を見たあとのそれです。ギャップ!!!
最終話の事があまり良くわかっていないので、また調べてみたいと思います。