「コードギアス反逆のルルーシュ 一期,二期」感想
「コードギアス反逆のルルーシュ(一期)」と
「コードギアス反逆のルルーシュR2(二期)」
各25話
出てくる関係性やシチュエーション、設定きっと好きだよ〜!と勧めてもらったのをきっかけに、一年くらいかけてゆっくり観ました。
ロボットもの、長編でキャラクター設定などもアニメらしいアニメで慣れない作品だったけど面白かった!
ざっくり感想を言うと、タメ部分がじっくり書かれていて長いが、きちんと回収してくれる作品という印象。
この長い部分をどう感じるかで好みが分かれそう。
本作の設定は、「日本」が「ブリタニア帝国」の植民地となって「エリア11」と呼ばれるようになった世界。
元々ブリタニア帝国の皇子だったルルーシュは現体制を崩そうとしてレジスタンス軍「黒の騎士団」を率いる。
元々日本人だったスザクは名誉ブリタニア人として、法の範囲内で内側から現体制を変えようとする。
どちらも急進派には変わりないのかな。
この設定が、単純に日本人vsブリタニア人ではなく込み入っていて面白い。
【以下ネタバレありの感想】
ルルーシュと因果応報
ルルーシュははじめはあまり好きではなかった。
ユーフェミアの悲劇を起こしてしまったところなど、なんというか、重いものを背負っているのにうっかりしている。
また、「ナナリーに嘘はつけない」と言ったりする甘さ。
それでいて、格好いい悲劇の英雄のように描かれてお咎めなしでうまくいく。
正直言って、
そんなうっかりで人の命を左右していいのか?
なぜあそこまで心酔されるんだ?
と疑問に思ってしまった。
それに、せっかくの協力者がいるのに、ただ尻拭いさせているのもなんだかなぁと。
しかし2期の後半、このフラストレーションを解消してくれる展開が訪れる。
これまでのツケが一気に回ってくるのだ。
彼自身が蒔いた種がスザクを信念に背かせ妹を殺したり。
利用するため愛情を抱かせたロロが、彼への歪んだ愛情故にシャーリーを手にかけたり。…因果の描き方が良い。
悲劇は走り出してからは止まることを知らず、予兆が見えてからは、ジェットコースターが一番高所に乗り上げたのがわかるように、後は加速するのみというのを感じさせるカタルシスがあった。
こういった展開の伏線として、今まではじっくりと描かれていたのかもしれない。
思えば一期のシャーリーの時もそうだった。大事だなんだと言いながら都合の悪い記憶を改竄するような勝手な奴かと思いきや、消していた記憶は…だったし。
ルルーシュに対してモヤモヤするから、なんだかな〜と思っている方は、ぜひ二期の後半まで観ることをお勧めしたい。
そしてルルーシュが力を持つことの欠点にも気づいて、覚悟もこれまでとは変わっていく。良いね〜〜
それ以降も、時々掴めないところや納得がいかない所はあったけれど、これは好みの問題だろう。また、長い本編で理解しきれていない所もあるので、もう一度観たら変わるかもしれない。
↑違和感は、
・ナナリーという目的を失ったあとで行動する理由とか(あれは本気でなぜ?想像してた以上に彼は利他精神が強かったのか、本気でロロに心を動かされたのか)
・あれだけの事をしていながら、親との対峙で、親が悪い、みんなの為に、と言えてしまうところとか。
あと…守られるべき無力なヒロイン・お飾りとしての皇女として描かれているかと思われたナナリーが、兵器の発射スイッチを握ることになるとは。彼女は強い子ですよね…。彼女が目を開いたシーンは美しかったな。
ナナリーにギアスをかけ、嘘を突き通したルルーシュに拍手。
ここのルルーシュを格好いいと思いました。
なぜルルーシュがあそこまで人を心酔されているのかも判明。
そうか、他の人はギアスがあると知らないからだ。だからすごいやつだと思う。当然だ。
こういう所を見ると、コードギアスは一貫して情報戦の話だったのかもしれない。
一貫したスザク
この作品では一番スザクが好きでしたね。
彼はダークヒーロールルーシュと対比されるいい子ポジション、かと思いきや、ものすごく目的のためなら手段を選ばない人なのだ。相手も選ばない。
成り上がるためには友達も売るしクーデターだって起こす。
彼の一貫性はイイ性格してんな〜!!と感じさせる程だが、その一貫性は見ていて気持ちがいい。
父親殺害の事実やそれゆえの自罰的な性格なども好青年然とした物言いや姿とギャップがあって良い。
※目的のためには手段を選ばないのはルルーシュ、手段に拘るのはスザクと書かれているのをよく見るのですが…目的を「ブリタニアの変革」とするとたしかにそうなんですが、ここでは途中途中の小さな事について…少なくとも2期は逆じゃないかなと私は思うのでそのままにしておきます。
彼の目的はブリタニア内で日本を取り返す権限のあるナイトオブワンという地位に就くことなんだけど、皇帝ルルーシュの騎士になった彼がそれすら超えてナイトオブ"ゼロ"と呼ばれてたことにはグッときた。
この作品の決着に思うこと
人の能力に期待せず、尊厳を犠牲にして恒久の平和を目指すラスボス(シュナイゼル)と
憎しみを一手に引きつけて殺されることで憎しみの連鎖を断ち切ろうとするヒーロー(ルルーシュ)の対比。
好きだな〜
同時期くらいの作品の、虐殺器官(ジョン)やNARUTO(ペインやマダラ⇄サスケ)でも似た考えが出てきた事を思うと、もしかして時代柄なのかな。
そんな中、コードギアスが独特だと思った点は、ルルーシュを討つ者が"ゼロ"自身であるところだ。
これまでルルーシュが作り上げてきたイメージが、彼の死の際にもうまく働く。ダークヒーローかと思いきや、「ゼロ」だけは正しく正義の味方になったんだな。
ルルーシュの他にゼロが出てきた時には、それが死んだかと思われたあの彼だった時には鳥肌が立った。
上手いな〜!そして救いがある。
このシーンで、これまでちらほら出てきていた「ゼロレクイエム」の意味にもすぐに納得がいった。
そしてここで生まれたルルーシュとスザクの共犯関係が良いですね。
互いに普通の幸せは望めないと覚悟しあっている。
作品において、また2人の関係において、スザクがはっきり「生きろ」を「呪い」と言ったように、またルルーシュが彼にかけた最後の言葉のように、願いを良いものとは言っていないところがいいなと思う。
こういった自己犠牲的なヒーローの話を見ると、「泣いた赤鬼」を思い出すのが常なのだが、
ルルーシュには仲間がいた。何をしようかわかって受け入れた共犯相手もいた。
青鬼がその後どうするかを赤鬼は知っていた。それだけで物語には救いがある。
悲しい話かもしれないが、しっかり意思の疎通が行われて、うまく世界を動かした、英雄伝のように感じた。
ただ、自己犠牲的なヒーローはいつだって、一番身近な者のただ傍にいたかったという望みだけは叶えませんね……涙
現在、劇場版「復活のルルーシュ」をやっているようですね。
噂によるとルルーシュが生き返るとか…?
最新作を観る時は、本編を復習してから挑もうと思います。昨年やっていた劇場版三部作↓がアニメ本編の総集編だそうなので、そちらを観るのもありかな。