「帰ってきたヒトラー」感想
ブラックコメディで、かつナチスがテーマということで前から気になっていた『帰ってきたヒトラー』、
ちょうどアマプラが無料期間中だったのでこの機に観てみました。
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感想
コメディとしても面白いし、けっこう体張ったブラックジョークだらけ。よくオーケーでたな〜と思う。
とはいえコメディだけに振り切れない、現代人への警鐘を感じるようなカットも時々入り、緊張感もある。
魅力的なヒトラー
「帰ってきたヒトラー」のヒトラーのキャラクターは、危険でありながら、魅力的だ。
現代に突然やってきてしまったヒトラーにとっては、現代は訳のわからないものだらけな訳で、それに振り回される彼の姿は時には天然でチャーミングであるかのように描かれる。
それに、人ともユーモラスに普通に談笑する彼の姿は、「冷徹・非人間的」な記号的な悪のイメージからはかけ離れている。
だからこそ、うっかりしていると話を聞いてしまい、気づいたら説得されてしまっていそうな危なさがある。
彼が親しみを持てる部分もある人間だからこそ、わかりやすい悪より危険なのだと気づかされる。
わかりにくいながら「危険」と気づけるのは、彼の根本的な考え方が支配者のためのものだったり、過激だったりして、一般的なものとは違う。と思わされる場面がしばしば入るためだ。
それも、"チャーミング"な彼の延長上にあり、浮いてはいない。
この映画では、その「普通」と「普通じゃない」の描き方のバランスが絶妙だ。
その他
あとは、創作する者ならこの映画は「カリスマ性」の見本にするにもいいかもな〜と思った。
人を注目させる口調や間の取り方、演説の方法など、とても「らしい」。
ネタバレになるので言いませんが、最後の二人が対峙するシーンの仕掛けは面白かったな。
あそこでのヒトラーのセリフが映画のメッセージなのだろうか?
全体を見るに、まだ二重三重に意味がある気もする。
それが気になるので、そのうち原作?の小説も読んでみたい。
最後もなにやら不穏な演出でしたね。
『帰ってきたヒトラー』はhuluにはなかったので、動画配信サイトで観るのお考えの方がいらしたらアマプラでどうぞ
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