『優しい死神の飼い方』感想 2017
知念実希人の『優しい死神の飼い方』
冗談めかして書いてある所が多く、ラノベやファンタジー小説っぽいかな。
少し優しく、少し悲しく、穏やかな読み心地の作品でした。
以下、ややネタバレあり
p193の
「死神にとって『時間』とは人間の『距離』に近い感覚だ。ある程度なら時間の移動も可能だし〜時間の移動範囲を超えた未来に起こることでも、人間が遠くを眺めるかのような感覚で『視る』ことが可能だ。」
すごく想像しやすい例えだと思った。
あとは、アミロイドーシスって病状が実在するんですね。知らなかった。
アミロイドという異常タンパク質が臓器に沈着してしまう状態のことを言うらしい。
そこそこどうくるか予想つきつつ読める形だったが、最後の共闘展開は意外だった。
戦闘は一瞬のうちに生命力を燃やすように見えるのに、その後、無関係にあっけなくくる死というギャップが無常だ。
「死神」が本当は「天使」と呼ばれているくだりは良かったな。作中での立ち位置を振り返ると、確かにぴったりだ。
最後に、死神繋がりで好きな作品の話をもう一つ。
伊坂幸太郎の『死神の精度』
こちらもまた、コメディ調で、「仕事」として死神をしている者目線の話ですが、『優しい死神の飼い方』の死神より更にクール…というか無関心に、タスクをこなすように生死を決める、違った"死神観"が見られます。