stormy97’s diary

あわよくば人に勧めたい、作品の紹介と感想

小説

米澤穂信『満願』感想

米澤穂信の『満願』 この人の本を読むのは『インシテミル』以来か。 短い中にも描写や世界観のつくりが濃厚でありながら、引き込む力が強く読みやすい。情景を間近に感じるような描写力は圧巻。上手い作家さんだなあと思う。 そして「らしさ」を感じさせない…

『朽ちないサクラ』感想

柚月裕子の『朽ちないサクラ』 朽ちないサクラ (徳間文庫) [ 柚月裕子 ]価格:734円(税込、送料無料) (2019/6/17時点) 人に勧められて読んだ。 ストーカー殺人事件にまつわる警察官のスキャンダルから始まり、それに続く関係者の突然死や辞職などの謎に迫…

『十二人の死にたい子どもたち』 感想

『十二人の死にたい子どもたち』どこで知ったのだったか、あらすじに興味を持って読んだ。 読みやすく3日程で読了。 エンタメ小説という印象。 子どもたちの、それぞれ置かれた環境に基づく思考の癖の描写が個性的で面白かった。 十二人の死にたい子どもたち…

『硝子戸の中』の感想と「月が綺麗ですね」の解釈

夏目漱石の『硝子戸の中』 紹介されていた抜粋が非常に美しかったので読んだ。 もっと言うと、好きな関係性の二人に重なって見えたので読んだ。笑 【中古】 思い出す事など・硝子戸の中 他七篇 漱石文学作品集14/夏目漱石【著】 【中古】afb価格:1540円(…

『ライ麦畑でつかまえて』の感想-崖から落ちるとはどういうことか-

18/12/28 BANANAFISHとの関連について に追記 J.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』 BANANAFISHのアニメに引用されていたことをきっかけに、名作と聞いていつかは読みたいなーと思っていた事もあり、この機に!と読みました。 日常的な話で文も語り口…

『優しい死神の飼い方』感想 2017

知念実希人の『優しい死神の飼い方』 優しい死神の飼い方 (光文社文庫) 冗談めかして書いてある所が多く、ラノベやファンタジー小説っぽいかな。 少し優しく、少し悲しく、穏やかな読み心地の作品でした。 以下、ややネタバレあり p193の 「死神にとって『時…

斬新なバイオテロもの、『時限感染 殺戮のマトリョーシカ』

岩木一麻の、『時限感染 殺戮のマトリョーシカ』 内容は、ウイルス学教授を殺害し、病原性の低いヘルペスウイルスを使いながらも「数十万人を殺害する」という犯行声明を出したバイオテロリストと、それを追う警察官らの追跡劇 という感じでしょうか マトリ…