『銀河鉄道の夜』ってどんな話なのだろう
「けれどもお互いほかの神さまを信ずる人たちのしたことでも涙が溢れるだろう」
以前何度か挑戦して、物語の趣旨を飲み込めず挫折していた当作。以前よりは少しつかめたかも。
それでタイトルの疑問に戻る。この話はどんな話なのだろう?
簡単に言うならばジョバンニの成長物語だろうか。
現実での授業の内容と、ジョバンニが銀河鉄道の中で経験する抽象的な出来事の二つが伏線なのだろう。
銀河鉄道での旅を通して、新しい発想を得て、またそれらも結びつき、ジョバンニが生き方を決めることにつながる。
ただ、まだ難解に思うのは、銀河鉄道の旅の部分。
あの経験からどうしてジョバンニがあれほど成長するのか、急に「ほんとうの幸福」について考え出すのか、また文が割かれたあの抽象的な話が必要なのか、いまいちわからない。
比喩やテーマも魅力的なのだけど、抽象的すぎて、これを作中にある情報だけで解釈することができるのか疑問に感じてしまう。私は肌に合わないかもなと思った。
ただ、以下の2つの記事がわかりやすく、印象が変わった。
特に、「ジョバンニの感情が『疎外感』である」点と、「本当の幸福について宮沢が考えており、他者(みんな)のために尽くすことがその答えだと考えているようであること」の2点は、前述の疑問を解決する大きなヒントになりそうだ。
自分は、彼と異なる「前提とする幸福観」のまま考えていたから、作品単体では解釈が難しいなどと感じたようだ。
彼の生涯についての解説や、テーマ性の強い他の作品に触れて、彼の価値観への理解を深めた上で、再度読みたい。
https://bungo-matome.com/miyazawakenji-gingatetsudounoyoru-summary-and-explanation
http://anothernewsstation.com/2017/01/28/gingatetsudou-sikujiri/
何度も映像化されているようだが、映像化作品はさぞ美しいのだろうなと思う。いつか見てみたい。 |